「バーベキューって、要するに外で焼肉でしょ?」——私たちも昔はそう思っていました。でも本場のBBQを知り、実際に与論島で毎週のように火を焚くうちに、日本式とアメリカ式の"中間"にいちばん美味しい場所があると気づいたのです。それが私たちの言うYORON BBQ(ヨロンバーベキュー)です。
- 日本でBBQと呼ばれるものの多くは、正確には「屋外焼肉(グリリング)」
- 本場アメリカンBBQは110〜125℃で5〜6時間かける「ロー&スロー」。本格だが旅先では日が暮れる
- YORON BBQはその中間。蓋つきグリルで2〜3時間、ピザ5〜7分・サーモン8〜12分と熱々を次々に
- 鍵は「蓋を閉める」こと。グリルがオーブンに変わり、丸鶏も塊肉も家庭では出ない味になる
- YORON BBQの宿では、このYORON BBQを手ぶらで体験できる
日本の「バーベキュー」は、実は屋外焼肉
河原にコンロを並べて、網の上でカルビと野菜を焼いて、焼けたそばからタレにつけて食べる。日本で「バーベキュー」と聞いて思い浮かべるのは、だいたいこの光景だと思います。楽しいですし、私たちも大好きです。ただ、これは英語で言うと grilling(グリリング)=直火の網焼きで、本場のバーベキューとは別の料理なんです。
宿でお客さまと火を囲んでいると、「バーベキューってこんなに種類があるんですね」と驚かれることがよくあります。薄切り肉を強火で短時間焼くのが焼肉式。これに対して本場アメリカのBBQは、塊肉を低温の煙でじっくり火入れする、まったく別の調理法です。同じ「外で肉を焼く」でも、目指しているゴールが違います。
本場アメリカンBBQ=ロー&スローの世界
アメリカ南部のBBQの合言葉は「ロー&スロー(Low & Slow)」。110〜125℃という低温を保ちながら、5〜6時間、ときには一晩かけて塊肉に火を入れます。牛の肩バラ(ブリスケット)や豚の肩ロースが、フォークでほどけるほど柔らかくなり、煙の香りをまとう。あれは本当に感動する味です。
ちなみに「肉を焼く人」ではなく「火と煙を管理する人」をピットマスターと呼びます。アメリカではBBQは焼き方ではなく、ほとんど哲学なんです。
ただ、正直に言います。旅先でこれをやると、日が暮れます。朝から仕込んで夕方にようやく食べられる。家族旅行で「お肉が食べられるのは6時間後です」は、なかなか成立しません。私たちも与論島で何度か本気のロー&スローをやりましたが、子どもたちはとっくに海に戻っていました(笑)。
YORON BBQ=「ホット&ファースト」寄りの中間解
そこで私たちがたどり着いたのが、焼肉式とロー&スローの中間です。蓋つきグリルを使い、高めの温度で短時間に仕上げる——いわゆる「ホット&ファースト」の考え方を軸に、全体を2〜3時間の体験として組み立てる。YORON BBQの原則は「作って食べて楽しんで、トータル5〜6時間以内で完結する」こと——与論の宿では仕込みを私たちが済ませておくので、その凝縮版を2〜3時間で楽しめます。これを私たちはYORON BBQと呼んでいます。
| 焼肉式BBQ | ロー&スロー(本場) | YORON BBQ | |
|---|---|---|---|
| 時間 | その場で数分 | 5〜6時間 | 2〜3時間 |
| 火 | 直火・強火 | 間接火・110〜125℃ | 蓋つきで直火と間接火を使い分け |
| 肉 | 薄切り | 大きな塊 | 丸鶏・塊・魚・ピザまで多彩 |
| 良さ | 手軽・わいわい | ほどける食感・本格 | 熱々・旨い・ちょうどいい |
| 弱点 | 単調になりがち | 待てない・日が暮れる | 蓋つきグリルが要る |
日本人は、やっぱり熱々が好きなんです。長く待つより、香ばしい焼きたてを次々に。それでいて「ただ肉を焼くだけ」の単調さからは抜け出したい。その両方を満たすのがこのスタイルでした。
実際のメニュー:ピザ5〜7分、サーモン8〜12分、丸鶏も
YORON BBQの何が楽しいかというと、コース料理のように「次は何が出てくるんだろう」が続くことです。私たちの宿で実際にやっている定番の流れはこんな感じです。
| メニュー | 時間の目安 | ひとこと |
|---|---|---|
| グリルピザ | 5〜7分 | まず乾杯と一緒に。底はパリッと、縁は香ばしく |
| グリル野菜 | 片面2〜3分 | 島の野菜が甘くなる。焼き目が調味料 |
| シダープランクサーモン | 8〜12分 | 杉板の上で蒸し焼き。木の香りが移る看板メニュー |
| スパイスチキン | 20〜30分 | 蓋を閉めてじっくり。皮パリ・中ジューシー |
| ビアカンチキン | 丸ごと1羽 | 缶に鶏をまたがせて立てて焼く、宴の主役 |
| 締め・焼きおにぎり | 残り火で | 火が落ち着いた頃、語らいと一緒に |
薄切り肉は一枚も出てきません。でも、物足りなかったと言われたことは一度もありません。むしろ「バーベキューの概念が変わった」と言っていただくことが多いです。
秘密はひとつだけ。「蓋を閉める」こと
YORON BBQの技術的な核心は、拍子抜けするほどシンプルです。蓋を閉める。これだけで、グリルは「網焼き器」から「薪火のオーブン」に変わります。
蓋を閉めると、熱が上からも回るので、丸鶏のような厚いものにも火が通ります。煙が庫内にとどまるので、香りが食材に移ります。そして炎が上がりにくくなるので、焦がして炭にしてしまう失敗が激減します。日本のBBQで一番多い悲劇——外は真っ黒、中は生——は、じつは蓋がないことが原因のことが多いんです。
もうひとつだけコツを言うなら「炭を全面に敷かない」こと。炭のある強火ゾーンと、炭のない穏やかなゾーンを作っておくと、焼き目付けと火入れを行き来できます。この2つだけで、バーベキューの成功率は目に見えて変わります。
なぜ与論島でやるのか
YORON BBQ自体は、道具さえあればどこでもできます。それでも私たちが与論島でこれをやっている理由は、「待ち時間」が最高のコンテンツに変わる島だからです。
チキンに火が入るまでの20〜30分、都会なら手持ち無沙汰な時間です。与論島では、その間に空がオレンジから群青に変わり、火を囲む顔が焚き火色に照らされて、頭の上には満天の星が出てきます。「早くできないかな」ではなく「まだできなくていいのに」と思える。バーベキューの待ち時間がごちそうになるのは、この島ならではだと思っています。
私たちの宿では、機材も食材も火起こしも全部こちらで用意する手ぶらのYORON BBQをご用意しています。「自分でもやってみたい」という方には、火の番をしながらコツを全部お話ししますので、遠慮なく聞いてください。
よくある質問(FAQ)
YORON BBQは正式な用語ですか?
私たちのスタイルの正式名です。「本場アメリカンBBQを、与論島から」という思いを込めて名づけた、与論島発のバーベキューです。焼肉式のグリリングと本場のロー&スローの中間、トータル5〜6時間以内で完結することを原則に、蓋つきグリルで多彩なメニューを熱々で楽しむスタイルです。与論の宿では仕込み済みのため2〜3時間で体験できます。
普通のコンロしか持っていなくてもできますか?
蓋つきのグリル(またはダッチオーブンなど蓋の代わりになるもの)があるとぐっと本格的になります。蓋なしの場合も、炭を片側に寄せて強火ゾーンと穏やかゾーンを作るだけで失敗が減ります。
ロー&スローの本格アメリカンBBQは与論島で体験できますか?
5〜6時間かかるため通常メニューにはしていませんが、ご興味があれば宿にご相談ください。時間帯や季節によってはご一緒できることもあります。
子ども連れでも楽しめますか?
はい。ピザやグリル野菜など早く仕上がるメニューから出していくので、子どもが待ちくたびれる前に食べ始められます。火のまわりの安全管理は私たちがそばでサポートします。